概要・沿革

 筑波大学遺伝子実験センターは,学内における遺伝子組換え実験の推進,安全管理,および,学内外の優れた研究者や技術者の養成を目的とした共同利用施設として 1984 年(昭和 59 年) 4 月に設置が認められ, 1985 年秋に2階建て(延べ 1500 平方メートル)の実験棟が完成し, 1986 年春より共同利用が開始された。その後,遺伝子研究の世界的かつ多様な分野での広がり,および,遺伝子組換え生物の産業的な利用の広がりとともに,遺伝子研究やその社会的対応に果たしてきた本センターの研究活動実績が認められ, 2000 年(平成 12 年) 4 月にはセンターの改組・拡充が認められた。この改組・拡充により,既存の遺伝子組換え基礎技術開発研究分野に加え,植物遺伝情報収集・解析研究分野と植物遺伝子多様性・進化機構解析研究分野が新設され,センター専任教員の増員(最終的な定員は,教授 2 名,助教授 3 名,講師 2 名,技官 1 名,事務官 1 名(学内措置による)となった), 4 階建ての実験棟の増設(新たに延べ 2300 平方メートルが増設され,最終的な延べ床面積は 3800 平方メートルとなった)が行われ, 2001 年 7 月にはよそおいも新たに広範な利用が開始された。

  一方,遺伝子組換え植物の栽培や環境への影響調査を実施するために必須となる特定網室や模擬的環境試験ほ場の設置も着実に進められ,現在では,全国的に見ても大学関係では最大規模を誇る施設が設置され,学内外共同研究を進めつつ,産学官共同利用や全国共同利用も始まっている。このような施設を用い, 2005 年より,文部科学大臣承認としては我が国で第 1 例目となる耐塩性ユーカリの隔離ほ場栽培試験を進めている。また,このような施設を有効に活用し,センター専任教員による独自研究を活発に進めつつ,次世代モデル植物として世界的に大きな注目を集めているナス科植物およびウリ科植物について,世界の研究者と共同で,トマトゲノムプロジェクトおよびメロンゲノムプロジェクトを進めており,国内中核拠点としてさまざまな産学官共同研究活動を実施している。

  本センターでは,植物,動物,微生物など各種生物の遺伝子を用いた最先端の実験を行うことができ,理学,農学,医学など広範囲に及ぶ多数の利用者が日夜研究活動を実施している。また,本センターでは,本学の遺伝子組換え実験安全委員会の要請を受け,学内において遺伝子組換え実験を行う予定の者(学類生,大学院生,教員,技術職員等)を対象とする遺伝子組換え実験従事者講習会を毎年数回開催し,講習後に提出させたレポートによる合否判定を行い,遺伝子組換え実験従事者として登録された者を中心にセンター利用を許可しており,センター利用登録者は 300 名を越えている。

  また,遺伝子組換え実験技術やバイオサイエンスのレベル向上と普及を目的とした遺伝子組換え基礎技術研修会(トレーニングコース)を毎年開催しており,我が国の産官学の若手研究者のみならず,東南アジアからの参加者も受け入れ,毎年秋に 1 週間にわたって実験を主体とするトレーニングを 20 名程度の受講者を対象として実施している。本コースでは,基礎技術ばかりでなく,最新技術についても専門家による指導をしていることもあり,参加者の満足度が高く,好評を博している。一方,遺伝子実験センターの改組・拡充に伴い,遺伝子研究および遺伝子組換え実験に関する正しい知識の普及と社会的受容をより一層推進することを目的とし,中学・高等学校教員のための遺伝子組換え実験教育研修会も毎年 2 回開催しており,既に日本全国から多くの教員の方が参加し,中学・高等学校における教育目的遺伝子組換え実験の普及に大きな貢献を果たしている。さらに, 2006 年 4 月からは,センター教員を中心に,一般の学生や市民とコーヒーを飲みながら気楽にさまざまな科学の話題について双方向で話しをするサイエンスカフェの活動も開始し,生命環境科学研究科と連携してバイオ e カフェを毎月 1 回開催し,最新科学の理解を深めるためのサイエンスコミュニケーションの具体策の検討やサイエンスメディエーターを養成する活動も実施している。

  一方,学内ばかりでなく,筑波研究学園都市や全国の研究者を対象に,バイオサイエンスの最新知識・技術の普及を図るため,遺伝子実験センターセミナーや各種セミナーを開催し,活発な討論が行われている。

  このように,当センターは最も活発に活動を行っている共同利用施設の1つであり,学内共同利用施設として世界に誇れる研究成果を今後も出し続けていくとともに,遺伝子組換え実験技術の普及の一層推進,遺伝子組換え植物に関するさまざまな情報を常に社会に発信することで遺伝子研究や遺伝子組換え生物の利用に関する社会的受容を得られるように努力すること等が強く求められており,その実現に向けて今後益々活動を活発にする予定である。

 

沿革
1984年 4月 遺伝子実験センター設置認定
1985年 秋 2階建て実験棟完成(延べ 1500 平方メートル)
1986年 春 共同利用開始
2000年 4月

遺伝子実験センターの改組・拡充が認められる.
[新設]
植物遺伝情報収集・解析研究分野
植物遺伝子多様性・進化機構解析研究分野
[増員]教授 2名,助教授 3名,講師 2名,技官 1名,事務官 1名の配置
[実験棟増設]
4 階建ての実験棟(延べ3800平方メートル)

2001年 7月 全館利用開始
2005年 10月 耐塩性ユーカリの隔離ほ場栽培試験開始(日本では1例目)
2006年 4月 サイエンスカフェの取り組み開始
2010年 4月 「形質転換植物デザイン研究拠点」として,全国共同利用・共同研究拠点活動を開始
2016年 7月 現在の利用者 40研究室/305名

 

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