センターの役割と目的

センター長江面浩 本遺伝子実験センターは,1984年に設置されて以来,4つの重要な役割,すなわち,遺伝子の構造・機能に関する先端的な研究の実施,学内外における遺伝子組換え実験の安全管理,学内共同利用施設としての高度な遺伝子関連実験機器・実験場所の提供,学内外に対する遺伝子関連実験技術の普及・教育を担うことを目的として運営されてきました。

 本センターが設置されてから既に20年以上経過し,この間,筑波大学内外における遺伝子組換え実験の安全管理に積極的に取り組むとともに,生物学,農学,医学,体育学,化学,心理学など多くの分野から毎年300名以上の学内外の共同利用者に利用され,専任教員とともに世界に誇れる多くの研究業績を発表し,また,産業界にも大きなインパクトを与えてきました。一方,遺伝子関連実験技術の普及・教育については,文部科学省やUNESCOの援助を受けつつ,日本全国および東南アジアの若手研究者を主対象に,遺伝子関連実験技術を普及するための基礎技術研修会(トレーニングコース)をセンター設置当初より毎年秋に1週間の日程で開催してまいりましたが,最近では,時代のニーズに合わせ,植物遺伝子解析に関する先端的な技術や遺伝子組換え植物に関する多様な技術を普及するための先端コースへと内容を高度化して発展させており,受講生からきわめて高い評価を得ております。

 21世紀はバイオの時代と言われていますが,全ての生物がその基本的な設計図として持っている遺伝情報を解析・活用する研究はますます活発になっており,新しい技術が次々に開発されるとともに,生命科学のあらゆる分野で活用され,その成果が社会のさまざまな場面で利用されるようになってきております。

 このような状況の中で,本センターは,遺伝子の基礎・応用研究をより高度なものとしつつ,学内外共同利用施設としてさらに有効活用し,また,遺伝子実験センターがこれまでに果たしてきた遺伝子研究や遺伝子組換え生物の育成・利用に関する知識・技術の開発・普及や社会受容をより一層推進するためのさまざまな努力を続けてまいりました。例えば,これまでの基礎技術研修会に加え,中・高等学校の教員を対象とする新たなトレーニングコースを開催するとともに,現在社会的にも大きな議論のある遺伝子組換え植物・食品の安全確保に関する研究を実施しつつ,遺伝子組換え生物に関する正確な知識の普及と社会受容にも努めてまいりました。このような積極的な活動が実を結び,2000年度には遺伝子実験センターの改組・拡充が認められ,専任教員の増員と実験棟の増設が実現し,2001年7月にはよそおいも新たに活動が開始されました。

 その後,新たな専任教員が次々と着任し,それまで以上に活発な活動を進め,従来の研究・業務に加え,最近では,ナス科植物やウリ科植物に関する国際協調方式によるゲノムプロジェクトの国内中核拠点としての活動が本格化しております。平成19年度からは文部科学省が実施するナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP)のトマトバイオリソース中核拠点として採択され、さらにはH20年度からトマトNBRPを活用し、海外研究機関・大学との国際連携融合事業が開始しました。一方、本センターに設置した特定網室や模擬的環境試験ほ場を活用して,遺伝子組換え農作物・樹木に関する学外共同研究も多数実施し,多様な遺伝子組換え植物の育成・栽培・特性評価・環境影響評価等についても多くの研究成果を蓄積しています。また,国立大学法人化後は,外部資金の獲得にも積極的に取り組み,獲得した外部資金をもとに,農林水産省所管研究所以外では我が国最大規模の特定網室・環境影響試験ほ場を設置し,多様な学内外共同研究に活用しております。このような活動の一環として,基礎研究としては我が国における第一例となる遺伝子組換え植物の第一種使用の許可を関係大臣よりいただき,耐塩性ユーカリの栽培試験を進めております。また,遺伝子研究をはじめとする幅広い生命科学・環境科学の研究成果を一般社会に広く普及・啓発するため,専任教員を中心に,生命環境科学研究科の事業の一環としてバイオeカフェを開催しております。

 本センターがその多様な目的を達成し,我が国ばかりでなく世界における遺伝子組換え植物研究の中核拠点として発展していくためには,関係者一同の今後のより一層活発な研究活動が必要不可欠です。本センターが益々発展し,我が国および世界の遺伝子研究にとって重要な研究拠点となれるよう,関係者一同も一層努力いたしますので,皆様のこれまで以上のご援助・ご鞭撻を賜りたくお願い申し上げます。

2016年4月         
筑波大学遺伝子実験センター長
江 面  浩  

ページトップへ