リスク評価・管理研究分野

研究室基本情報
スタッフ名 大澤 良 教授、津田 麻衣 助教
研究分野 植物育種学、細胞遺伝学、レギュラトリーサイエンス
研究テーマ 遺伝子組換え作物等の環境影響評価手法の確立、新しい育種技術に関する開発や規制動向の情報解析
研究のキーワード リスク評価、新しい育種技術、集団遺伝学
研究室URL 植物育種分野研究室
研究室TEL 029-853-4815
E-Mail osawa.ryo.gt☆u.tsukuba.ac.jp (☆を@に変えてください)

 

研究内容

~NPBT(新しい植物の育種技術)に関するリスク評価・管理研究~

「ゲノム編集による導入遺伝子残存や変異発生等に関する科学的知見の集積」
(内閣府 戦略的イノベーション創造プログラムによる研究)

 ゲノム編集は、狙った場所に遺伝子を挿入したり破壊したりできる遺伝子配列を自在に編集できるツールとして、近年、急速に発展している技術です。本研究では、ゲノム編集技術を用いて作出した作物において、標的以外の領域に生じる変化(塩基配列の変異・挿入・欠失等)と自然界や従来の育種技術によって起こり得る変化の差異を比較、解析し、ゲノム編集技術に対する安全性や社会需要のための議論に資する情報を得ることを目的としています。

 


 

「NPBTの開発動向と規制動向に関する情報解析および情報発信」
(農林水産省 次世代ゲノム基盤プロジェクトによる茨城大学立川教授との共同研究)

 NPBT技術や、世界における動植物の開発状況および規制動向に関する情報を収集・整理し、レギュラトリー支援のために行政などに情報を発信しています。

 


 

~遺伝子組換えセイヨウナタネのリスク評価・管理研究~

「遺伝子組換えナタネの環境リスク評価法の開発」
(農林水産省 次世代ゲノム基盤プロジェクトによる研究)

 近年、多様な特性を付与した遺伝子組換えセイヨウナタネが開発されており、近い将来、環境ストレス耐性が付与された系統の実用化も想定されています。本研究では、環境適応度が向上した遺伝子組換えナタネが我が国に定着し分布拡大する可能性や近縁種への遺伝子浸透の可能性についての知見を蓄積することで、遺伝子組換えセイヨウナタネの生物多様性影響評価に必要な環境リスク評価法を開発しています。

 

野外に自生するナタネの調査の様子
野外に自生するナタネの調査の様子

 

路傍に生えるナタネ
路傍に生えるナタネ

 


 

「カラシナへの環境適応度に関連する遺伝子の探索と評価」
(文部科学省 共同利用・共同研究拠点による筑波大学形質転換デザイン研究拠点における共同研究 農業生物資源研究所 田部井上級研究員)

 遺伝子組換えナタネのこぼれ種から我が国に広く自生しているカラシナへの遺伝子浸透については、セイヨウナタネとカラシナの交雑性や後代の稔性特性などの調査は行われているのですが、遺伝子浸透に関して科学的データが十分に整っているとはいえない状況にあります。そこで、カラシナ側の環境適応度の特性調査とともに、環境適応度に影響する花芽形成等について圃場における特性評価や適応度に関連する遺伝子の探索を行っています。

 

自生カラシナ特性評価のための栽培試験
自生カラシナ特性評価のための栽培試験

 

花芽形成遺伝子を導入した形質転換カラシナ
花芽形成遺伝子を導入した形質転換カラシナ

 


 

「遺伝子組換えナタネのアブラナ科栽培4種への遺伝子拡散リスク評価」
(文部科学省 共同利用・共同研究拠点による筑波大学形質転換デザイン研究拠点における共同研究 国立大学法人宇都宮大学 房教授)

 遺伝子組換えナタネとアブラナ科栽培4種(ハクサイ類、キャベツ類、カラシナ類およびダイコン)との自然交雑による雑種後代の出現を把握するために、本研究ではまず、ナタネとアブラナ科栽培4種の雑種後代を作出します。これらの雑種で花粉管発芽および胚の発達調査を行って、ナタネの花粉を介した組換え遺伝子の環境への拡散リスクを細胞遺伝学的観点から評価します。

 

温室における交配実験の様子
温室における交配実験の様子

 

アブラナ科植物の花き形態や細胞学的特性の観察
アブラナ科植物の花き形態や細胞学的特性の観察

 


 

~遺伝子組換えダイズのリスク評価・管理研究~

 

「遺伝子組換えダイズを評価するためのツルマメの生態的特性の把握」
(農林水産省 次世代ゲノム基盤プロジェクトによる農業環境技術研究所 吉村主任研究員との共同研究)

 現在、干ばつに対応するための乾燥耐性や、高収量性の遺伝子組換えダイズの開発が世界中で進められています。このような特性を持つ遺伝子を持った組換えダイズは環境への適応性が向上するといわれており、ダイズの近縁野生種のツルマメとの交雑などによる遺伝子浸透がおこれば生物多様性に影響を及ぼす可能性が考えられます。このような遺伝子浸透の実態を把握するために、ダイズやツルマメの生態的特性情報が必要になります。しかし、ツルマメ自身の生態的特性については、まだ十分に把握されていません。本研究では、ツルマメの生態的特性を明らかにするためにツルマメの自生地でその生活史、種子生産性、周囲の植物種との競合性等を調べています。

 

自生地でツルマメを調査する様子
自生地でツルマメを調査する様子

 


 

「遺伝子組換えダイズの導入遺伝子環境拡散リスク評価モデルの精緻化」
(文部科学省 共同利用・共同研究拠点による筑波大学形質転換デザイン研究拠点における共同研究 農業生物資源研究所 加賀主任研究員)

 日本にはダイズの祖先野生種ツルマメが広く分布しています。こぼれ落ちた遺伝子組換えダイズからツルマメに組換え遺伝子が移った場合、それがツルマメの個体群の中でどのように増減するのかを予測しようと考え、環境拡散リスク評価モデルを作成しました。このモデルは組換え遺伝子が拡散する可能性を知る上で大切な情報を提供してくれるのですが、自然環境でツルマメがどのように生死を繰り返しているかの情報が十分に反映されていませんでした。そこで本研究ではそのようなツルマメの生活史に大きく関わっている種子休眠性や個体密度と種子生産数の関係などを理解するための研究を進め、環境拡散リスク評価モデルの精緻化に役立てようと考えています。

 

ツルマメ
ツルマメ

 

電子顕微鏡観察によるツルマメ種子の表面
電子顕微鏡観察によるツルマメ種子の表面

 


 

~遺伝子組換えキクのリスク評価・管理研究~

「遺伝子組換え青色キクの実用化に向けた生物多様性影響評価における形質転換植物評価技術に関する研究」
(文部科学省 共同利用・共同研究拠点による筑波大学形質転換デザイン研究拠点における共同研究 農業・食品産業技術総合研究機構/花き研究所 間上席研究員)

 新花色の開発は観賞用植物において重要な育種目標です。キクは産業的に最も重要な花きの一つであり、遺伝子組換え法により作出した青色系新花色系統の実用化は、キクの利用場面の多様化と消費拡大につながるものと期待されています。一方、遺伝子組換えキクのリスク評価に関しては既知の知見に乏しい状況です。そこで、本課題では、改変した花色の形質安定性の評価や栽培ギクと近縁野生種の交雑性調査等を実施し、遺伝子組換えキクのリスク評価に必要な情報を収集しています。
 

キクと近縁野生種との虫媒による交雑試験の様子
キクと近縁野生種との虫媒による交雑試験の様子
 

ページトップへ